劇場支配人の仕事は多岐に渡ります。
代表的な仕事の内容、1日の業務スケジュールなど、支配人がどのように劇場運営に携わっているのかをお伝えします。
支配人の仕事とは?
支配人は一般的なサービス業での「店長」にあたり、「売上/経費」「リスク」「従業員」「施設」「商品」「接客サービス」などの管理を行います。ただし大きく違うのは、アルバイト、パートスタッフを含めると約100名もの従業員を抱え、大規模劇場ならお客様は年間約100万人、売上は15億円以上という規模の大きさ。
約2000人ものお客様を収容する劇場内で、安全管理を最優先しつつ、あらゆる自体に冷静かつ的確に対応する能力も求められます。
売上を大きく左右する!
上映スケジュールづくり
どの作品を、どんな席数のスクリーンで、どんな時間帯に上映するかというスケジュールを決めるのは支配人。たとえば会社帰りに立ち寄るお客様が多い劇場なら、近隣の会社の終業時刻に合わせて人気作品を上映することで入場者数を大幅に増やすこともでき、場合によっては収益が100万円単位で変わることもあります。実際に、最適な上映時間を決めるため、劇場の前の通りに立って人の流れを観察し続けた支配人や、他館では小キャパシティのスクリーンで上映されていた作品を敢えて大スクリーンで上映し、満席にしてみせた支配人も。ストレートに利益に結びつく重要な仕事といえます。
対従業員、対本社……
社内の調整も重要な仕事
劇場内部では、従業員が働きやすい職場づくりも重要な仕事。スタッフ、マネージャー、副支配人のそれぞれが安全で無理なく働けているかをチェックし、必要に応じて改善します。従業員のモチベーションを左右する、支配人の重要な役割の一つといえます。
また、劇場の運営・経営上の課題について、地域の劇場を統括するスーパーバイザーと話し合うのも支配人の仕事です。常に劇場内外の情報を幅広く収集し、劇場内でのイベント等を企画した際には、実現に向けて本部との調整役を担います。
劇場外にも仕事がたくさん。
協力を得るために日々奔走
実は劇場外部とのやり取りも多いのが支配人。劇場が入居するショッピングセンターなど施設側の担当者との打ち合わせは支配人が行います。施設全体での販促活動や、感染症や自然災害に関するリスク管理の取り決めなども話し合って共有。劇場の集客力を上げるキャンペーンや、地域や街を盛り上げるイベントを行う際は、施設だけでなく行政との打ち合わせが必要になる場合もあります。さらに舞台挨拶などのイベントがあれば、登壇者サイドとのやり取りにも支配人が中心となって対応します。
「年商数億円の経営者」としての
やりがいが味わえる
このように、年間数億円単位の売上を一手に引き受け、さまざまな個性を持つ従業員のやる気を引き出して接客のレベルアップを図り、集客戦略を立てて社内外と交渉するという仕事内容はむしろ「経営者」そのもの。自らの裁量で遂行する業務も多く、責任も大きいですが、成功したときの達成感はまさに支配人の仕事の醍醐味といえます。
一日のスケジュール
支配人の1日のスケジュールを紹介します。
マネージャー、副支配人とミーティング。
マネージャーには褒めポイント・弱みや悩み・業務課題を共有し、対応方法を検討。副支配人には経営状況を伝え、今後の施策やマネージャーの指導育成について話し合う。
次週上映スケジュールの作成。前週までの運営状況を把握し、新作の口コミや期待値などの情報をもとに次週の上映スケジュールを検討する。
損益の確認と各種報告書類の作成。日々の予算進捗や劇場の損益を管理し、必要な報告データや書類をまとめる。
その日の業務の引き継ぎを行い、翌日の劇場・自身のスケジュールを確認。
急ぎの用件が滞っていないかを周囲の従業員に確認しつつ、残務を処理して業務終了。
向いている人
支配人にはこんな人が向いています。